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 新型コロナ関係の本町の状況、およびちょっとした考察②

2020年04月11日

続きです。
ここからは、文体はである調に変わります。
国による感染拡大抑止の対策は様々に行われてきたが、
基本的な戦略は、よく言われるように
感染のピークシフト≒時間稼ぎ
であり、それにより医療崩壊を防ぐこと&態勢を整えること、
薬品開発や治療法確立への時間を作ること、
を目的としていたと考えていい。
それが、首都圏での感染者の指数関数的な増加傾向と
その主因たる感染経路不明の感染者の割合・実数共の増加、
医療現場のひっ迫に代表されるような事象が拡大してきたことから、
現在の緊急事態宣言を発する状況まで事態は進んできた。
この間、一貫して重要視されてきたのが、
死者数を増やさないこと
であり、このこと自体はこれからも変わりないが、
フェーズの変化により基本的な対応思想も変わる。
つまり、死者数抑制のためのその分母たる感染者数抑制への
アプローチが変化する、ということであり当然であろう。
一方で、この間メディアや識者(とされる方々)等で
言われてきたことがある。
PCR検査体制とその数、である。
実際、他国と比較して検査の実数が少ないのは明白であり、
それに対し疑問が上がるのは当然でもあろう。
実際問題として、医療資源には限界があり、
やみくもに検査を実施(それも偽陽性・偽陰性が比較的出易い)し、
結果としての医療資源逼迫と偽陰性者による拡散招来を考慮すれば、
持てる資源を考えた時のアプローチとしては正しかったと考える。
ソフバンの孫さんが
「PCR検査キット100万セット配ろっかな?」
とツイートしたとき、
「医療崩壊起こすからそれだけはやめて!勘弁して!他国見て!」
という、それまで検査拡大の意見が圧倒的多数を占めていたネット上では
あまり見かけなかった、検査状況を肯定・是認している層のリプライで
埋め尽くされたように、潜在的には検査体制に対して
一定以上に理解は得られていたと思われる。
(サイレントマジョリティ、ってこういうことなんだよね、と)
ただ、フェーズは明らかに変わってきているのであって、
死者数を抑制すること、というこれまでの方針を軸と見立てつつ、
感染者数と死亡者数から検査数の妥当性や
最悪どのくらい死者数が出てしまうのか、について、
各国の感染者数と死亡者数及び死亡率の単純な数値比較と
そこからの推計をベースに考えてみた。
なぜこんなことをしてみたのか?であるが、
それこそ単純に、そのような推論をしている記事や意見を
ネット上でもメディア上でも見たことがないからである。
これをしてみたところで何が正解・正着打なのか、とかには
繋がるものでもないけれど、様々に見解がある中で
数字で見てみた場合はこういうことは言えるよね、
くらいに考えることはできるのかな、ということで。

まず、前提条件として、
①各国の衛生・栄養水準や医療制度など、
 国ごとに違う要素は考慮には入れていない。
②保険制度についても同様。
③各国の検査数は不知なので、あくまで感染者数でみる。
=感染者数/検査数や検査の精度は考慮しない。
④各国の感染者数・死亡者数は「正しい数字」である、という前提。
※ぶっちゃけ本当か?という国もあるでしょうからorz
また、死亡者数は感染者数の内数になるのは当たり前だが、
この中には「新型コロナそのものでお亡くなりになった人」と
「本当は助かっていたかもしれないのに医療崩壊などで
 十分な治療行為が為されなかったために亡くなられた感染者」
が混在している点も考慮しない。

以下が感染者数1万人以上の各国・日本・世界全体の
感染者数及び死亡者数の一覧である(4月8日AM現在)

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表で見ると、死亡率ワーストはイタリアの12.63%、
逆に最も死亡率が低いのは韓国の1.86%、
全体平均が5.74%である。
よく知られるように、韓国はSARSの経験から検査体制を充実させており、
当初から徹底した検査をベースとし対策を講じてきた。
一部で医療崩壊を招いたのは過剰なほどの検査を行ったからでは?
という指摘もあるが、他方で徹底ぶりに対し国際的な評価の声もある。
感染拡大の一番の要因は一部宗教団体の活動形態によるとされる。
イタリアでは完全に医療崩壊を招いた。
検査の方針自体は日本と同様である。
以前のWHOによる医療制度ランキングでは2位とされ(日本は10位)、
つまりは「世界でもトップクラスに医療が充実した国」が
極めて深刻な事態に陥った、ということになる。
これらの数字を日本のそれと置き換えてみると、
次のようになる。
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繰り返し記すが、各国ともフェーズは異なり、
その上での数字比較なので誤解のないように。
で、これを見ると、まず死亡者数固定の方からだが、
死亡率の最低ラインである1.86%(韓国)を当てはめた場合、
感染者数については潜在的な感染者数は現在よりも1000人余り、
割合で言えば25%程度多いかも、ということが予測される。
全体平均(5.74%)で見たときには、
2.5倍弱の感染者を補足できている、とも言える。
最高ライン(12.63%)は実際との乖離が激しいので除外。
続けて感染者数固定の場合。
最低ラインからすれば3割弱死亡者の割合が高い。
最高ラインからは、医療崩壊が既に起きていれば
現在の4倍以上の方が既に亡くなっていた可能性、
あるいはこれから亡くなる可能性を示している。
今後展開が悪化するとこの数字に寄っていくことに。
平均ラインで見ると、死亡者数が半分以下に抑制されている、
ということとなる。

現在感染が拡大している国々でも、その拡大期を迎えるまでの
死亡率は概ね2~3%台だったところであり、
そうしたことも含めてこれまでのところを考えてみると、
PCR検査数の増加は当然ながら感染者数の実像把握には繋がるが、
検査→感染者認定、という部分においては
韓国などのような「疑わしきは即検査」といういわば徹底検査体制と
日本のような「症状から必要があれば検査」いわば限定検査において
著しい乖離を生じていることはなく、
このことを考えればPCR検査の運用における我が国のアプローチは
少なくとも失敗だったとは言えず、
むしろ一定程度にはうまく運用してきた、と考えられるし、
死亡率と感染者数の比較からもそのことは裏付けられる。
また、対応方針の幹であるピークシフトも、
もっと後ろにずれてほしかったところではあろうけども、
何とか戦略として機能してきた、と言える。

「ただし、大事なのはここから」と、
今回のエントリーを書き始めた緊急事態宣言の二日後くらいには
結ぼうと思っていたが、以降ここまでのほんの数日で
感染拡大の速度が恐ろしく上がっている。
まさに緊急事態であり、非常に危機的な状況である。
現在の各国、特にイタリアや米国の現状を見れば、
1か月~2か月後に日本国内が同様の状況になることは
十分あり得るし、むしろ近づいている、と見るべきだろう。
それが、私達がこの後に迎える未来かもしれないとするならば、
如何にして状況悪化を進めないようにできるか、
それがダメでもそのスピードを鈍化させることが出来るか。
感染者のトリアージとそれによる対応と資源・インフラの確保補強、
検査数の増大など、アプローチは全く変わるし、
当然そうした状況を見据え政府でも準備してきたと信じたいが、
最終的には私たち一人ひとりの意識と行動が行く末を決める。
国、自治体、企業、国民、全ての個人団体を問わない主体が
やれることを最大限に行うこと。
様々な制約条件を取っ払って今やれることとやるべきことをやること。
今は出口が見えないが、やるしかない。

投稿者 sudayoshi : 2020年04月11日 22:31